ニュートンの第1法則は第2法則に含まれない


ご存知の通り、ニュートン力学は、下記の3つの法則を基礎に成り立っています。

Wikipedia「ニュートン力学」より)

● 第1法則(慣性の法則)
質点は、力が作用しない限り、静止または等速直線運動する(これを満たすような座標系を用いて、運動法則を記述する)。

● 第2法則(ニュートンの運動方程式)
質点の加速度 \(\vec{a}\) は、そのとき質点に作用する力 \(F\)に比例し、質点の質量 \(m\) に反比例する。
$$\vec{a} = \frac{\vec{F}}{m}$$
●第3法則(作用・反作用の法則)
二つの質点 1, 2 の間に相互に力が働くとき、質点 2 から質点 1 に作用する力 \(\vec{F}_{21}\) と、質点 1 から質点 2 に作用する力 \(\vec{F}_{12}\) は、大きさが等しく、逆向きである。
$$\vec{F}_{21} = – \vec{F}_{12}$$


■ 第1法則は第2法則に含まれない

この記事で書いておきたいのは、「第1法則は第2法則に含まれない」ということです。

「第1法則は、第2法則の \(\vec{F} = 0\) の特別な場合について言ってるだけ」
というのはよくある誤解です。


私も誤解していた時期がありました。

物理学辞典 の「運動の法則」の説明には次のような記述があります。

ただし第一法則は,物体に慣性があることを主張しているというよりは,むしろ, このような事実を成立させる座標系すなわち慣性系を選び出す原理を示している点に意義がある. われわれは第一法則によって運動を記述すべき慣性系をまず選択することができる.


つまり第1法則は、第2法則と第3法則が成り立つための前提条件を設定しています。

具体的には、観測者の座標系が加速運動していないことです。

例えば、もしも観測者が加速中の電車にいたら、電車内に転がっている空き缶は、力が働いていなくても転がりますよね。第1法則が成り立ちません。「そういう座標系は考えませんよ」という宣言です。


参考:
物理学辞典


http://atsuko.boo.jp/kumonoito/?p=2320
http://eman-physics.net/dynamics/newton.html
http://www2.biglobe.ne.jp/~norimari/science/JavaApp/undou/undou.html




0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です