ベクトルの反変成分、共変成分、…
基底の変換則を2次元で確認する
2次元直線座標系の基底 \((\vec{e_x},\vec{e_y})\)
と
2次元極座標系の基底 \((\vec{e_r}, \vec{e_\theta})\)
の変換則を、具体例で確認しておきます。
基底の変換則
直線基底と曲線基底の変換則は下記で与えられます。(例:書籍「一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する」p.425)
$$\vec{e’_i} = \frac{\partial{u^j}}{\partial{x^i}}\vec{e_j}=\frac{\partial{u^1}}{\partial{x^i}}\vec{e_1} + \frac{\partial{u^2}}{\partial{x^i}}\vec{e_2}$$(中辺ではアインシュタインの縮約を使っていて、右辺でそれを展開しています。)
【具体例 1】\(\vec{e_r}, \vec{e_\theta}\) を \(\vec{e_x}, \vec{e_y}\) で表す
まずは 極座標の基底 \(\vec{e_r}, \vec{e_\theta}\) を直線座標の基底 \(\vec{e_x}, \vec{e_y}\) で表してみましょう。図を見ても、たしかにこの式のような関係になってますね。
ここでのポイントは、基底自体の大きさは絶対的なものではなく、どの座標系から見るか(測るか)によって変わるということです。
例えば上記の【具体例 1】では \(\vec{e_r}\) と \(\vec{e_\theta}\) をそれぞれ \(\vec{e_x}\) と \(\vec{e_y}\) の線型和で表しました。
このときの係数 \(\frac{\sqrt{3}}{2}, \frac{1}{2}, -1, \sqrt{3}\) は、 \(\vec{e_r}\) と \(\vec{e_\theta}\) を直線座標系の基底 \(\vec{e_x}, \vec{e_y}\) で測ったときの大きさ(分解したときの成分)です。
成分から大きさを求めると、\(\vec{e_\theta}\) の大きさが 1 ではありません。
一方、例えば自分自身(極座標)の基底で測ると、
\(\vec{e_r} = 1\vec{e_r} + 0\vec{e_\theta}\)
\(\vec{e_\theta} = 0\vec{e_r} + 1\vec{e_\theta}\)
となります。
このときは、\(\vec{e_r}\) も \(\vec{e_\theta}\) も大きさは1です。
【具体例 2】\(\vec{e_x}, \vec{e_y}\) を \(\vec{e_r}, \vec{e_\theta}\) で表す
では次。逆に直線座標の基底 \(\vec{e_x}, \vec{e_y}\) を極座標の基底 \(\vec{e_r}, \vec{e_\theta}\) で表してみましょう。
こちらも、図を見ると、たしかにこの式のような関係になってますね。
【具体例 1】で書いたのと同様に、これらの係数 \(\frac{\sqrt{3}}{2}, -\frac{1}{4}, \frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{4}\) はあくまで\(\vec{e_x}\) と \(\vec{e_y}\) を極座標系の基底 \(\vec{e_r}, \vec{e_\theta}\) で測ったときの大きさ(分解したときの成分)です。
測る基底を変えると成分も変わります。
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