(1,1) テンソルの座標変換でも、基底は保存されない


相対論の勉強をしていてちょっと混乱してきたのでメモ。

背景

テンソルの基底の変化 \( \vec{e’_i} = a^j_i \vec{e_j} \) に対して、
(1) 双対基底は \(a\) の逆行列 \(b\) で変化する \( \vec{f’^i} = b^i_j \vec{f^j} \)
(2) テンソルの成分も 行列 \(b\) で変化する \( x’^i = b^i_j x^j \)

\(a\) と \(b\) は逆行列。( \( a^i_j b^j_k = \delta_{i,k} \))
\(a\) と (2) の \(b\) が打ち消し合って元のテンソルと一致するのは知っているのだが、
例えば (1,1) テンソルの場合、\(a\) と (1) の \(b\) は打ち消し合わないのか混乱してきたので、確認してみた。

結論

【結論】打ち消しあわない。

確認

(1,1) テンソル \(x^k_l \vec{e_k} \otimes \vec{f^l}\) を考える。

(i) 成分 \(x^k_l\) の変換

\(x’^i_j = b^m_k a^l_n x^k_l\) ・・・①

これだけだと、\(a\) と \(b\) は一致する添え字がないので、逆行列を表すδ関数が適用できない。つまり打ち消しあわない。

(ii) 基底 \(\vec{e_k}\) の変換

\( \vec{e’_k} = a^k_p \vec{e_k} \)・・・②

(iii) 基底 \(\vec{f^l}\) の変換

\( \vec{f’^l} = b^q_l \vec{f^l} \)・・・③

②の \(a\)と③の \(b\) についても、一致する添え字がないので、逆行列を表すδ関数が適用できない。つまり打ち消しあわない。


一方、成分と基底を掛け合わせると、
\( (b^m_k a^k_p) (b^q_l a^l_n) x^k_l \vec{e_k} \otimes \vec{f^l}\)
これは括弧で括った中の \(a\) と \(b\) が共通の添え字を持ち、逆行列を表すδ関数が適用できて、
\(= x^k_l \vec{e_k} \otimes \vec{f^l}\)
となり、元のテンソルに一致することが確認できた。

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