【相対論】重力と慣性力の見分けはつかないのに、電磁気力と慣性力の見分けはつく理由は?


一般相対論の入り口で、だいたい等価原理というものを習います。
等価原理とは、「重力と慣性力は区別できない」というものです。
外が見えないエレベータやロケットの中を想定して、力を感じた時に、それが重力によるものなのか、慣性力によるものなのかを区別できない、という説明がよくあると思います。

この等価原理をもとに一般相対論が展開されるわけですが、こんな疑問は持ったことないでしょうか?

じゃー電磁気力と慣性力はどうやって区別できるのか?


下記の本にヒントが書いてあったのでメモします。


問題設定

改めて問題設定を確認します。

外が見えないロケットの中にいる人が力 \(F\) を感じたとします。
このとき、この \(F\) の正体の候補として下記の2つがあります。
(1) 外から加わった力(重力や電磁気力など)
(2) 慣性力(ロケットが加速したと想定)
どちらか一方かもしれないし、両方かもしれない。
そこで \(F\) の内訳を求めたいというのが問題設定です。

クーロン力だとすると・・・

では、上記問題設定の (1) の力が電磁気力の1種であるクーロン力 \(qE\) だった場合の、ロケット内部の運動方程式を立ててみましょう。

簡単のため1次元で考えます。

物体の慣性質量を \(m_I\) 、外部の一様な電場を\(E\)、外から見たロケットの加速度を \(\alpha\)とすると(慣性質量についてはこちらを参照)、ロケット内部での運動方程式は \(\alpha\) の方向を正として
$$m_I a = q\color{red}{E} – m_I \color{red}{\alpha}$$ここで、何を求めたいのかというと、\(qE\) と \(-m_I \alpha\) の値です。
\(m_I, a, q\) はロケットの中でも既知とすると、 未知数としては赤字で書いた\(E\) \(\alpha\) の2つです。
未知数が2個で式が1個なので、これを解くには式がもう1つ必要です。

そこで運動方程式を立てる対象の物体を2つ用意して、連立方程式にします。
$$m_{I1} a_1 = q_1 E – m_{I1} \alpha$$$$m_{I2} a_2 = q_2 E – m_{I2} \alpha$$これなら式が2つ、未知数が2つ(\(E\)と\(\alpha\))なので解けそうです。

ただしここで重要なのは、この連立方程式が解けるためには条件があるということです。
その条件は、上記連立方程式を行列で書くとわかりやすいと思います。
$$ \begin{pmatrix}
m_{I1} a_1 \\
m_{I2} a_2
\end{pmatrix}
= \begin{pmatrix}
q_1 & -m_{I1} \\
q_2 & -m_{I2}
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
E \\
\alpha
\end{pmatrix}$$これが \(E\)と\(\alpha\)について解けるためには、右辺の 2×2 行列が逆行列を持つ必要があります。そうすれば両辺に左から逆行列をかけて \(E\)と\(\alpha\)を求める式が出るからです。

逆行列を持つためには、行列式が 0 でない必要があります。
式で書くと
$$q_1 (-m_{I2}) – q_2 (-m_{I1}) \ne 0$$変形して
$$\frac{m_{I1}}{q_1} \ne \frac{m_{I2}}{q_2}$$この式の左辺と右辺はそれぞれの物体の慣性質量と電荷の比を表しています。
一般に物体の慣性質量と電荷の比は物体によってバラバラなので、この式は成り立ちます。
なので逆行列は存在し、\(E\)と\(\alpha\)の値が求まります。

以上から、2つの物体の運動方程式を立てることで、受けた力のうち何 [N] はクーロン力によるもので、何 [N] は慣性力によるものか、数値がズバリ出せることがわかりました。

重力だとすると・・・

一方、外部からかかる力がクーロン力ではなく重力だとするとどうでしょうか。
クーロン力の場合と比べて何が変わるでしょうか。

\(qE\)の部分が \(-m_G g\) に変わるだけですね。( \(m_G\) は重力質量)
なので同様にして逆行列を持つための条件は下記になります。
$$(-m_{G1}) (-m_{I2}) – (-m_{G2}) (-m_{I1}) \ne 0$$変形して
$$\frac{m_{I1}}{m_{G1}} \ne \frac{m_{I2}}{m_{G2}} \tag{1}$$この式の左辺と右辺はそれぞれの物体の慣性質量と重力質量の比を表しています。
慣性質量と重力質量の比は、現在のところ物体によらず一定とされていますこの記事参照)。
なので、上記 (1) 式は成り立ちません(≠ではなく=になります)。

以上から、重力の場合は、物体の慣性質量と重力質量の比が一定であることが原因で、\(g\) と\(\alpha\) の値が具体的に計算できず、重力と慣性力の内訳を出すことができない、つまり \(g\) と\(\alpha\) の見分けがつかないことがわかりました。


以上、重力は慣性力と見分けがつかないのに、電磁気力は加速度と見分けがつく理由を説明してみました!

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