ポテンシャルから波動関数の形を簡易的に予想する方法


(一番下に参考文献を載せてあります)

井戸型ポテンシャルに代表されるように。

量子力学では、与えられたポテンシャルエネルギーの空間分布 \(V(x)\) に対して、波動関数 \(\psi(x)\) がどのように分布するかを計算してからエネルギーや期待値などを求めることが多いと思います。

よくある解き方の流れはこんな感じだと思います。
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(1) シュレディンガー方程式に \(V(x)\) を代入して\(\psi(x)\) について解く
  ↓
(2) 境界条件から未定の係数やエネルギーを求める
  ↓
(3) 得られた波動関数\(\psi(x)\) を規格化する
  ↓
(4) 規格化した波動関数\(\psi(x)\) から存在確率分布、期待値などを求める
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本記事では、(1)をやる前に波動関数 \(\psi(x)\) のおよその形を予想する方法をご紹介します。

結論を先に書くと、こうなります。

・\(E \gt V(x)\) の領域・・・\(\psi\) は定常的
・\(E \lt V(x)\) の領域・・・\(\psi\) は指数関数的で、\(x\to\pm \infty\) でゼロに収束する

例えばポテンシャルと粒子のエネルギーの関係が下図左側のような場合、波動関数は下図右側のようになることが予想できます。


以下にその理由を説明します。


まず、時間に依存しないシュレディンガー方程式
$$\left(-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2}{dx^2}+V(x)\right)\psi(x)=E\psi(x)$$を次のように変形します。
$$\frac{d^2\psi(x)}{dx^2}=-\frac{2m}{\hbar^2}(E-V(x))\psi(x)$$この微分方程式の解は、\(E-V(x)\) の符号によって形が異なります。

(1) \(E-V(x)>0\) の領域では
解は \(\psi(x) = A \cos(kx) + B \sin(kx)\) の形になります。
これは係数が複素数ですが三角関数の和ですので定常的なイメージです。

(2) \(E-V(x)<0\) の領域では
解は \(\psi(x) = C e^{kx} + D e^{-kx}\) の形になります。
こちらも係数は複素数ですがexp関数ですので、数学的には \(x \to \pm \infty\) で0または無限大のイメージです。
しかし \(\psi\) が物理的には波動関数であることを考えると、 \(x \to \pm \infty\) で発散する解は不適です(例えば規格化できないという問題が出てきます)。
そのため「\(x \to \pm \infty\) でゼロに収束する」という条件が必要になります。

また以上の考え方を適用すると、例えば波動関数が無限遠方まで広がるような状態を実現するには、\(x \to \pm \infty\) で \(E \gt V(x)\) である必要があることがわかります。


参考:
シュレディンガー方程式 ―基礎からの量子力学攻略― (フロー式 物理演習シリーズ 19)

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