偏微分方程式の教科書で、波動方…
波動方程式の覚え方
私なりの波動方程式の覚え方をご紹介します。
波動方程式は
$$\frac{1}{v^2}\frac{\partial^2 \phi}{\partial t^2} = \frac{\partial^2 \phi}{\partial x^2} \tag{1}$$です。
以下の3ステップで書き下せるようになります。
①
まず、「波動方程式は 時間 \(t\) と 距離 \(x\) の2階偏微分方程式である」というのは覚えておきます。
つまり \(\frac{\partial^2 \phi}{\partial t^2}\) と \(\frac{\partial^2 \phi}{\partial x^2}\) を含むということです。
②
次に、波動方程式が弦の素片の運動方程式 \(ma = F\) から導かれることを思い出します。
(詳細はこちら)
\(ma=F\) の左辺と右辺を比較すると、確実に時間を含むのは加速度 \(a\) の方です。
なので①で用意した2つの項のうち、\(\frac{\partial^2 \phi}{\partial t^2}\) の方が \(ma=F\) の \(ma\) 側にあたります。
ということは\(ma = F\) の \(F\) にあたるのは \(\frac{\partial^2 \phi}{\partial x^2}\) の方です。
以上から、
$$A \frac{\partial^2 \phi}{\partial t^2} = B \frac{\partial^2 \phi}{\partial x^2} \tag{2}$$と置きます。
③
波動方程式(1) の形がなんとなく頭に入っていれば、(2)の \(A\) と \(B\) のどちらかが \(\frac{1}{v^2}\) で、もう一方が 1 だったことまで思い出せると思います。
ではどちらが \(\frac{1}{v^2}\) かというと、(1)を見ると答えは \(A\) の方であることがわかります。
(2)で \(\frac{1}{v^2}\) になるのは \(B\) ではなく \(A\) であることは
「速度 \(v^2\) をかけたら意味のある量が出てきそうな分母を持っている方」
と覚えます。
(2)の左辺と右辺だと、左辺の分母は \(t^2\)、右辺の分母は \(x^2\) です。左辺の分母 \(t^2\) に \(v^2\) をかけたら距離の2乗が出てきます。かつ右辺と次元が一致します。
逆に右辺の分母 \(x^2\) に速度 \(v^2\) をかけると \(L^4/T^2\) という次元を持つ量になってあまり意味が見い出せません。それに左辺と次元が一致しませんね。
2